みずほ銀行オンライン・システム障害について 〜 注11

公開: 2021年10月23日

更新: 2022年1月24日

注11. 初歩的な設計ミス

調査報告書では、この問題を「比較的初歩的な設計ミス」としている。しかし、このような初期化処理を設計の段階で、見落とすこと自体、通常では考えられない。例え、設計者本人が失念していたとしても、同僚または、レピューを行った担当者、全員が見逃したことは、普通では考えられない事態である。設計を実施したのは、「再委託先の外部ベンダー」としているが、外部ベンダーからの納入時にも、発見できていなかったことは、大きな問題である。発注者側、受注者側の技術者の職業倫理観の欠如が如実に現れている。

この設計ミスも、「必要な初期化処理」が設計時に全く考慮されていなかったと言う、極めて初歩的な「欠除」に属する問題である。日本の技術者による設計レビューでは、実現の誤りである「誤り」は、高い確率で指摘できるにも拘らず、「欠除」や「過剰」に属する問題をほとんど指摘できない。特に、長期的に利用されるソフトウェアにおいては、この「欠除」や「過剰」に属する問題は、開発から年月を経過した後に、重大な問題を発生させる原因になることが経験的に知られている。そのような問題を全く検知できなかったレビューは、形式化したレビューとしか言いようがない。

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